第五章 人形の欠片

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 轟――と激しい風が吹いたのと同時、勢いよく飛び出す月喰人が真っ直ぐベリアローズへ刃を向ける。  唯一の武器であるサーベルは、壁に突き刺さった儘だ。  直線的な横薙ぎの軌道を後方へ身を返して躱すと、ベリアローズは壁へ向かって駆け出した。その後を、月喰人が追い掛ける。  距離は徐々に縮まる。  その様子を眺めてから、チッタは小さく息を吐いた。  ベリアローズは大丈夫だろう。何故だか、そう思った。  それよりも今は、頭に響く騒音が気になって仕方がない。 「……一方的な交信って嫌われちゃうよ」  そう呟いて、チッタはゆっくり、もう一人の月喰人へと歩みを進めた。
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