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怒りを。
恨みを。
復讐を。
負の感情が溢れ出す。
滾るマグマのような熱を湛えて。
その一方で、見えない悲しみに心を痛めて。
「絶対に、求めちゃいけない。……叶わない夢だ」
少年は歩く。
流れくる感情にと同じように、悲しみをその胸に抱いて。
何故。
如何して報われない。
仲間がいても満たされないこの心。
ぽっかりと空いた穴は埋まらないのか。
「他の方法を探さないと駄目だ。君のやってる事は、間違ってる」
少年の声は届かない。
溢れる感情も止まらない。
如何して。
如何して。
一方的な問い掛けだけが続く。
少年は、口を閉ざした。
歩みだけは止まらない。
視線は通った儘、距離が、縮まる。
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