悲壮の連鎖

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「あ、福永くん!もう新宿だよ! 確か住んでるの新宿だったよね!?」 「あ、はい!覚えててくれたんスね!?w」 「そりゃ新宿駅近に住んでるとか聞いてたからw 羨ましくて覚えてるよw じゃあまた連絡するからさっ!!」 「あ、はいっ!!ではまた!!!」 それから俺は新宿で下車して自宅へ帰って行った…。 そして俺は後日、知り合いのスタイリストから、中島さんが亡くなった理由が自殺だったと聞かされた……。 中島さんは俺が出会った頃はまだ21とか22歳とかで、まだ若いのにやり手なカメラマンだな思いながら一緒に仕事をしていた…。 その若さで奥さんも子供もいると聞いていたし、いろんな意味でやり手な人だなと俺は感じていたw そんな家庭も仕事も順風満帆そうな中島さんが自ら命を絶つだなんて……。 自殺の理由は周りに聞いても誰も知らなかったというより、教えてくれなかった…。 ただ、残された奥さんが中島さんの意思を引き継いて、後々自らカメラマンになったという話を聞かせてもらったーー。 人生とは何が正解かは分からない…。 中島さんの奥さんがカメラマンになることは結果として良かったのだろうかーー? カメラを持つ度に、亡くなった中島さんを思い出してしまいそうで………。 新宿駅からの帰り道、俺は独りで当時の中島さんのことを思い出していた…。 きっとこのタイミングで自殺だなんて、震災の影響もあるのだろうけど… いつも元気で明るい中島さんにも心の闇があったのだろうかーーー?
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