一目惚れ

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「おい桜井、これ資料作っといてくれ」 そう部長に頼まれて俺はいつものように元気に返事をした。 「はい!すぐ作ります」 書類を手にして自分の席に戻ると、さっそく仕事に取りかかる。 「悪いな?俺も少し手伝うから」 そう隣から声をかけてくれるのは、俺の直属の上司である大沢課長だ。 大沢課長は俺の憧れだった。 入社した時、すでに課長だった彼は、面倒見もよく、偉ぶらず、見た目も悪くない。 この課長に気に入られたくて俺は2年間必死で仕事を覚えて、いまでは課長の右腕とも呼べるんじゃないかと自負している。 実際、課長は俺を弟のように可愛がってくれており、冗談も言えるくらいの仲になっていた。 「やべっ!今日の会議に使う資料……家に忘れてきた」 急に慌てた様子で叫ぶ課長を見て思わず笑ってしまう。
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