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長く続く吹き抜けとなった通路にはゴミや埃といった物は欠片も無く、清潔に保たれている。
壁や柱には人や花、幾何学的な紋様があり、その一つ一つが精緻に彫られ、見る者を飽きさせない。
左手に視線を動かせば吹き抜けの通路の向こうには色取り取りの草花が咲き誇り、彫刻との間に違和感など無く、寧ろ栄えさせてさえいた。
そんな通路を二人の女性が歩いていた。
「あら、エルったらまだ緊張してたの?」
一人はウェーブのかかった金髪。
瞳は自身に満ちてはいるも何処か愛嬌を感じさせる。
白い布地を纏わせた四肢のメリハリは見事なもので、胸は突き出ているにも関わらず腹部は引っ込み、ヒップラインはキュッと絞まっていた。
「そ、それはしますよ先輩」
もう一人は背中まで伸びた艶やかな髪。
二重瞼のパッチリとした瞳のわりに桃色の唇は小振りでプルンとしていた。
こちらも白い布地に四肢を纏わせているが、隣にいる者に比べ落ち着いた体形をしている。
そんな二人には衣服以外にも共通点があった。
それは背中に生えている純白の翼。
彼女らは自らのことを天使と呼ぶ。
但し、エルと呼ばれた少女は一対二枚の翼に対し、先輩と呼ばれた者は三対六枚の翼を持っていた。
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