何と言う事も無い平凡な特訓

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次に眼を開くと、闇の中にいた。 嵐が通ったかのように荒れ果てた部屋。 そこらじゅうに散らばるのは壊れたオモチャ。 小さな女の子が、小さな背中をこちらに向けて、綿の飛び出した人形で遊んで居る。 動かすたびに立てられた爪によってブチブチと音を立てる人形の首は、終いにはこぼれ落ちる様に取れた。 ポトリと首が落ちると同時に、女の子の動きが止まる。 そして、手に持った胴体を放り投げ、手のひらを向けると瞬時に人形が”凍る”。 そして落ちてきた人形を払う様にして粉々に打ち砕くと、こちらを向いた。 口は裂けんばかりに笑って、この世の全てを憎んでいる様な充血した眼でこちらをにらめつけ、眼から涙を流しながら。 彼女は、ゆっくり近づいて来る。 三日月みたいな口の奥から、喉を風が通り抜けていく音が部屋に響く。 悲鳴なのか、泣き声なのか、それとも笑い声なのか。 自然に、俺は人形の様に殺されるんだと理解ができた。 湧き上がる恐怖と嫌悪感。 近付いてきた”マコちゃん”を、俺は両手で突き飛ばした。 抵抗なく、突き飛ばされたマコちゃん。 その表情は一転して裏切られた事を悲しむ表情に変わっていた。 しかし、それも一瞬。 ブスブスと肌が泡立つようにマコちゃんの?が火傷を負っていく。 半身がケロイド状になる様子を動かないままじっくりと見ていた。 ふと気が付けば、半身はもうかろうじて人型だとわかる程度に黒焦げで、もう半身はドロドロと溶けているのにマコちゃんだとわかる顔をしていた 。 そう、俺が火竜を打ち込んだ時の様に。 先ほどの悲しみの表情がよぎり、罪悪感が俺を責める。 近付いて抱き起こそうとした。 でも、肩を引かれる。 振り向くと……母さんがいた。 横に、父さんも。 2人とも、笑っている。
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