第 六 話

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「家に食器はありません。 丁度良いのでその食器が欲しいのなら買って下さい」 笑顔で告げる彼に言葉が出ない。 ありませんって、あった物を処分するように今言いましたよね? 「もう一度電話をかけて、処分しないよう言って下さいっ!」 慌てる私とは対照的に彼は冷静に一言。 「嫌です」 「何でですかっ?!」 「家に食器があると、貴女が欲しいのに買わないからです」 私の所為なのっ?! 「もう欲しくないので今直ぐ電話をかけて下さいっ!」 「嫌、です。 買わないと明日から珈琲も飲めなくなりますよ?」 ……何て人なの… 「……二度と貴方と一緒に買い物はしたくありません」 「次は私の買い物に付き合ってもらうので大丈夫ですよ」 何がどう大丈夫なんだ。 「ちゃんと会話して下さい」 「すみません、このシリーズを全て下さい」 私を無視して店員を呼ぶと、彼は勝手に購入手続きを始めた。 「優姫さん、他の色もあるそうですが、どうしますか?」 「…私はその色がいいです」  
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