第一章

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「何の為に行ってんだよ、ったく…」 『いつもなら、完璧にこなす仕事を何故コイツは…』 「山崎……」 聞かない事には、何も始まらない。 「お前、新撰組が嫌に…」 「そんなはず無いでしょう」 そんな思いも途中で遮られてしまった。 「俺の居場所はここにしかありません。新撰組に入った時からここを死に場所と決めています」 山崎の目に一瞬、青い光が宿っていたのを見逃さなかった。 でも直ぐにケラッと笑って 「ただちょっと副長が羨ましかったから、ふざけてみました」 山崎は立ち上がった。 「ふざけてみました、じゃねぇよ…ビビらせんな」 土方自身、久しぶりに山崎の決意を聞けた事に嬉しさを感じていたが、そこは悟られないように隠す。 「でも、羨ましいって……?」 土方は、立ち上がった山崎を見上げて問いかけた。 「あぁ…それは……」 襖の近くにある箪笥に背中を預けながら山崎はこたえた。
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