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で、なぜそんな僕が今こうして車イスに乗って筋骨隆々の屈強なナースに後ろから押されているかというと。
僕が所属しているバスケ部での、ある練習前のことだ。いつもは形だけの顧問が、その日に限って何やら感化されたらしく、
『ストレッチはしっかりやれよ。でないと体を壊す元だ。いいな、絶対に怠ることなく、入念にだぞ』
なんてことを仰り出した。
──当然、僕はストレッチを怠った。
だってもう完全に振りじゃん。『押すなよ? 絶対に押すなよ!?』みたいなもんじゃん。少なくとも僕にはそう聞こえた。
だからお座なりに準備運動を終わらせ、迎えた我が部恒例スリーオンスリーの時間。敵選手にドンガラガッシャーンと衝突し、ボキボキバッキーンと右の腕と足を骨折。
『病院に行け、今すぐにだ!』
なんて顧問がまた振るからあっけらかんと練習を続けようとしたところを部員に止められ連行され、包帯を肩と股からぐるぐる巻いて今に至るというわけである。
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