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「そう。お父さんからしたら、泣いてばかりいた私を慰める為についた嘘だったのかもしれない。だけど私は信じたい。……だって、またお父さんに逢いたいから」
誰も見たことがないのなら信じていたっていいじゃない?
いつか私が死んだらきっとわかることだから。
だからそれまで、信じていたい。
「誰にもわからないのなら、勝手に消えるって決めつけるのもおかしなことじゃない? この世の中には先輩が私の目の前に現れたように、私達の想像を遥かに越えるような出来事が起こるわけだし。なら、消えるって想像の斜め上を行くことだって有り得る。天国だって存在するかも」
あんなに遠くにいた憧れの先輩が、こうして私の隣にいる。
隣で拗ねたり、泣いたり、笑ったりしている。
こんな奇跡が起こるのならば、世の中には他にもたくさんの奇跡が転がっているはずだ。
その奇跡の中に存在する私達だからこそ、信じられる。
〈そうだね。確かに、消えるって結末はつまらないね〉
「うん」
〈……天国か。可愛い子がたくさんいたらいいな〉
なんて、先輩は両手と両足をうんと伸ばしながら呟く。
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