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「一つは、単純に判断ミス。誰かを助けるという判断を下す。その時、『自分を犠牲にしてでも』という考えがない場合だ。これは、誰かを助けながら、自分も生き残れると思っているんだ。つまり、リスクをくぐれるという判断のもとでの、愛だ。
しかし、現実にはそのリスクをくぐれなかった。リスクに対する判断ミス。結果的に自己犠牲となる。結局は、自分にデメリットはない、と誤った判断をしたことによる自己犠牲にすぎない…わかるかい?」
さくはとんでもない話をしている。誰かを助け、犠牲となった人への侮辱に等しい発言ではないか。しかし、さくを責めることはできない。なぜなら、さくは別に誰かを侮辱するつもりなんかないから。ただ冷静に、真実を考え抜いた結果を話しているだけだから。
侮辱をするつもりかどうかと、真実か否かとは別問題である。つまり、侮辱とかそういう次元を、さくの思考は超越していた。
「もう一つの観点から話そう。遺伝子保存論。これは、『自分が犠牲になる』ことを認識していながら、誰かを救う行動にあてはめることができる」
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