32人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
ゆうちゃんは、やさしい。ちょっと泣き虫だけど、みほちゃんやボクがケガをすると、水できれいに洗って、星がらのばんそうこうをはってくれる。
かけっこは遅いけど、絵をかくのがじょうずで、ねんどで動物を作るのも、みんなより早くて、いつもほめられる。
ゆうちゃんはぬいぐるみが好きで、かわいいクマのキーホルダーをランドセルにつけてる。
でも、それをからかわれると泣きべそをかく。「ゆうちくん」ってよばれるたびに、泣きそうな顔をする。
そのたびにみほちゃんが飛んで行って、ゆうちゃんをよしよしする。
ボクは二人の頭をぽんぽんとたたく。背のびして。
ゆうちゃんは、かわいい物が好きで、ふわふわの短い髪をもっとのばしたがってて、外で遊ぶのもきらいじゃないけど、おままごとも好き。体育のときや、トイレのときに、女の子といっしょじゃないのがいやなんだって。
「どうしてゆうは、女の子といっしょじゃだめなの?」
「保育園のときは、いっしょだったのにね」
「おとなが決めたことって、よくわかんないね。ボクたちには、ボクたちの考えかたがあるのに」
ボクは読んでいた動物図鑑を握り締めて、ブランコを力いっぱいこぐ、ゆうちゃんとみほちゃんを見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!