第二十八章

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流石に蒼くなった店番は、直ぐ様主人を連れてきた。 「芹沢はん…今は金子足りとらんのです…。今日のところはお引き取り願えまへんか?」 またか…という表情の主人。 芹沢はフッと鼻で笑う。 「ほう…?天誅組にやる金はあっても、儂等にやる金はないと?」 天誅組…尊攘過激派の一部のことだ。 実を言えば、芹沢が先程言った放火を思わせる言葉はただの脅し。 火付けが大罪なのは、芹沢も当然承知している。 だが…。 「壬生狼なんぞにやるくらいなら、長州者にくれた方がずっとマシやわ……」 ボソリと呟かれたこの本音は、正に“火種”となったのだ。 「…平山…土蔵に火を放て」
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