真夜中の来客

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真夜中の来客

午前二時半頃。「草木も眠る」とはよく言ったものだと思う。昼間はうるさい家の前の通りも、今は静かだ。 少し眠くなってきた僕はそろそろ眠りにつくことを決め、ベッドに潜り込もうとした。 ちょうど、その瞬間のこと。 ――ピンポーン♪ 「ふぇ?」 いきなり鳴ったチャイムに驚き、思わず間抜けな声を上げてしまった。普段、家を訪れる人はほとんどいない。ましてや今は真夜中。一体誰だろう。 「はーい、今出ますー」 聞こえるはずもない大きさで誰に言うでもない言葉を発しながら、玄関へと急ぐ。 誰が来たのか、というごく小さな疑問を抱きつつ。
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