28422人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
同じ晩に、お隣同士で、わたしたちはほぼ同じことをしていた。
信じられない話だけど、すべては偶然で、それらを聞いたトオルも、驚いている様子だった。
お隣さんの場合、勝負をはじめる直前になって、何者かが家に侵入した。
あの前髪の長い青年だ。彼は旦那さんを殴りつけ、２つのＳＣＭを持ち去った。
その際、旦那さんの歯も一緒に持って行った。奥さんはしどろもどろになりながら、そう教えてくれた。
トオルが言うには、わたしたちのＳＣＭは偽物だったらしい。
機能こそ似ているけど、ＳＣＭの本体をよく見ると５ＣＷと刻まれていた。
──わたしたちは家に帰ると、ソファに横たわった。
あと２時間したらアキラを迎えに行かなければいけない。
わたしはポツリと呟いた。
「……ごめんなさい、あなた」
彼は「何がだ？」と言った……今は話さないけれど、そのうち自ら話すと思う。
わたしのストレスと、浮気を。わたしはそんな気持ちを込めて、こう続けた。
「……わたしたち、きっとやり直せるわよね？」
「……そんなわけないだろ」
トオルは天井を仰ぎ、疲れた様子でそう言った。
彼はそう言ったけど、あれから２年。
アキラは小学校に入学し、わたしたちは今も平凡な生活を送っている──。
ジャマイカンライフ おわり
最初のコメントを投稿しよう！