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現在、PM3:40。
起立!
礼!
さようなら!
本日の日直が『礼!』と言い終わらない内に、坊主頭の生徒達が一斉に教室から走って出ていってしまった。
そんな慌ただしい連中と引き替え、俺は他のクラスメイトと同じようにのんびりと帰り仕度を済ませ、席を離れた。
大きなエナメルバックの中には筆箱とルーズリーフしか入ってない。俺はいちいち教科書なんて家に持って帰らないからだ。
今日の予定――コンビニで立ち読み。
脳内でスケジュール確認を終えた俺は、速やかに後ろ側の扉から教室を出ようとしていた。
「若木君!!」
背後から呼び止められたのはそんな時だった。
声の主は女子。
放課後の解放感で徐々に昇っていた俺のテンションは、その怒号によってパキッと綺麗に折れ曲がった。
後ろを振り返れば案の定、我がクラスが誇る学級委員長様が腰に手を当てて立っていた。声色から相当ご立腹らしい。
ちなみに、俺は委員長が嫌いだ。
一年の時からの付き合いだが、何かある度にうるさく俺に注意するからだ。
俺は委員長にしかめっ面を向けたが、委員長は気にすることなく声を大にして叫んだ。
「今週、掃除当番だよ! 昨日もサボって帰ったでしょう!?」
……忘れてた。
「ワリィ……」
俺は委員長に一言謝罪をして、自分の席に戻りエナメルバックを机の上に置いて机を教室の後ろへと下げた。
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