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「芸ができるということは野生より頭がいい証拠アル。もし我が誘拐してやるといえば…実験アルね。もちろん我はそんなことしないアル。」
実験という意外な言葉にレムも姫も驚きを隠せなかった。
「と言ってもね…一体誰が誘拐したのか…。」
レムはうーんと悩みながら腕を組む。今回の事件、いつもより証拠も目撃情報もない。
「あのぅ…私見ちゃったの。」
赤毛の綺麗な少女が控えめな声でレムに声をかける。
「ん?どういうこと?君は?」
レムがそう訊ねると少女は口を開く。
「ニアっていうの。ビーストテイマーなの。」
ビーストテイマーとは獣使いのことで、サーカスで飼っている動物の世話、芸の仕込みなどを担当する。
「で?何を見たの?」
姫が首を傾げるとニアは語り出した。
「人影…。リオとレオの食べ物を持って行ったらいなくて…。」
少し怯えながらレム達に打ち明けた。
「顔は見た?」
「それが…見てないの。それにちょっとおかしいのトカゲみたいな…尻尾があったの。」
今にも泣きそうな顔でレムに抱きつく少女を見て、レムは少し違和感を抱いた。
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