file8:錬金術士の夢

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「芸ができるということは野生より頭がいい証拠アル。もし我が誘拐してやるといえば…実験アルね。もちろん我はそんなことしないアル。」 実験という意外な言葉にレムも姫も驚きを隠せなかった。 「と言ってもね…一体誰が誘拐したのか…。」 レムはうーんと悩みながら腕を組む。今回の事件、いつもより証拠も目撃情報もない。 「あのぅ…私見ちゃったの。」 赤毛の綺麗な少女が控えめな声でレムに声をかける。 「ん?どういうこと?君は?」 レムがそう訊ねると少女は口を開く。 「ニアっていうの。ビーストテイマーなの。」 ビーストテイマーとは獣使いのことで、サーカスで飼っている動物の世話、芸の仕込みなどを担当する。 「で?何を見たの?」 姫が首を傾げるとニアは語り出した。 「人影…。リオとレオの食べ物を持って行ったらいなくて…。」 少し怯えながらレム達に打ち明けた。 「顔は見た?」 「それが…見てないの。それにちょっとおかしいのトカゲみたいな…尻尾があったの。」 今にも泣きそうな顔でレムに抱きつく少女を見て、レムは少し違和感を抱いた。
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