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「ええ。実は私も、彼女のバンドメンバーの一人だったんですよ。彼女は拓郎がいなくなったことを今でも引きずっているんです」
なぜ、この男はバンドネタを広げるのだろうか。私の疑問を知る由もなく、更にこの男は、バンドネタを話し続ける。
「白石先生は、拓郎を引き抜いた楓光夫にそっくりなんですよ。顎のラインとかね。ほら、菜月よく見ろ。顎のラインは似てるが、彼の唇は光夫より薄いだろう?」
夏川先生と呼ばれた男は、右手を私の顔から離し、白石楓を指差した。
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