6636人が本棚に入れています
本棚に追加
/533ページ
「よし、僕たちは、今から拓郎に代わるギタリストを探しに行こうか」
夏川先生は、私の手首を掴み、白石楓の進む方向とは真逆に歩き出した。
「ちょ、ちょっとどこに行くのよ……」
私は、戸惑いながらも、夏川先生に引っ張られるがままに歩いていく。彼の黒髪と白衣が、風に靡く様子を見つめながら。
そして、さっきからずっと、気になっていた事がある。
……あの臭いは、なんの臭いなのか。
――先生の手は、とても臭かったんだ……。
.
最初のコメントを投稿しよう!