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「みんな~おっはよ!」
叶恵ちゃんが教室に響き渡るような大きな声で挨拶をしながら教室に入る。
「うっわ~……やっちゃったな……」
しかし、教室内は静かで、完全に空気を読めていなかった叶恵ちゃんは恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「夢川さん、美原さん、村嶋さん、早く席についてください」
[はい]
私たちは担任である女の先生に言われ、私たちは廊下側の列の後ろの方にある私たちの席に静かに座った。
ふと、先生の隣を見てみると、前髪を右側に流している黒髪で、かっこいい男の子が立っていた。
「ごめんなさいね。浦水君、もう一度自己紹介してもらってもいい?」
「はい。別に構いませんよ」
浦水君と呼ばれた男の子は、先生に微笑むと、前を向いて口を開いた。
「夢花村(むはなむら)という小さな村の学校から転校してきました、浦水繋弥(うらみず けいや)です。よろしくお願いします」
「繋弥くん……か」
「なに~?夢羽、早速一目惚れ?」
私がふと呟いた一言に左隣の席の叶恵ちゃんが反応して、にやにやしながらこっちを見てきた。
「ち、違うよ!何だかどこかで会ったことがあるような気がして……」
「そう?な~んだ、あたしの勘違いか……」
叶恵ちゃんはふてくされたように前を向き、ため息をつく。
その時、私がふと前を見ると、見散ちゃんは前を向いたまま何か考え込むように頬杖をついていた。
「見散ちゃん?どうかしたの?」
私が叶恵ちゃんにそう聞くと、叶恵ちゃんははっとして私の方を向いた。
「ううん。何でもないわ。気にしないで」
見散ちゃんはそう答えると、再び前を向いてまた何かを考え出した。
正直気になったけど、私がどうにかできるような問題じゃなさそうだったので、私も前を向いた。
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