~ 第二章 ~

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    ――ここは子供部屋だろうか。遊びスペースを確保する為に、学習机やベッドなどの家具が壁際に配置してある。ピンクのシーツに包まれたベッドには愛くるしい動物をメインとしたヌイグルミが置かれていた。     それとは別に、どうしても異様で、どうしても愛くるしいとは言えない人形が床に転がっている。よくよく見ると、赤ん坊を模した人形には、刃物で刺されたように無数の穴が開いていた。     隣に落ちているハサミで突き刺したのだろうか。そんな人形を見ては震える少女の存在。年齢にして小学校6年生くらいだろう。茶色にセミロングの頭を抱えながら震えていた。いったい何があったと言うのだろうか。     「全部人形が悪いんだよ。だって……人形が家にきてから、変な事ばっかりだもん」     そう訴え震える少女を優しく抱きしめる女性。母親だろうか、安心させようと少女の頭を優しく撫でていた。     「大丈夫。今度はお母さんも一緒に行ってあげるから」     言って睨んだ人形を、本を縛るビニール製の紐でグルグルと縛り始めるのだった。やはり異様な光景だろう。愛でるはずの人形に対し、さながら虐待とも取れる行動は普通ではなかった。      そんな母親は、グルグルに紐で巻かれた人形を片手に、もう片方の空いた左手を少女に差し出して言うのだ……。     「――さあ、捨てに行きましょう」        
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