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「ごめん、美沙には内緒にしてびっくりさせたくて」
そう言って罪なく微笑む陽の笑顔。
そんな風に優しく言われちゃったら、怒る気にもなれないじゃない。
「あたし……結婚式もウェディングドレスもいらないって……言ったよね」
抱き締められた腕にそっと指を重ねると、陽はいっそう柔らかく微笑んであたしの耳元に囁いた。
「うん、でも……俺が美沙のウェディングドレス姿、どうしても見たかったから」
「陽……」
陽はいつもあたしを一番に考えてくれる。
だけど絶対に“あたしの為”だなんて口にしたりしない。
そんな優しさが何より愛しい。
結婚式とかウェディングドレスとか、言い出したらキリがない。
そんな風に思っていたハズなのに……それはただ自分に言い聞かせていただけだったのかな。
“いつか……”
そう憧れていた幸せが今、陽の手で現実になる。
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