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「……さっきの。警備員来た時のほのかの顔、まじウケた。」
「何おぉっ!!神坂だってビビった顔してたじゃんっ」
「オマエにつられてやったんじゃんっ」
あれから。警備員の足音が遠ざかった隙に、二人非常階段を駆け降りて。
神坂に引きずられるかのように全速力で走って、夜の校舎を脱け出した。
アイツはあたしの手を決して離す事はなくて。
見付かる事のスリルよりも、神坂の熱い手の温度に苦しくなった。
いつもより。ほんの少し遅めの通学路。
生徒も通行人すらも、誰もいなくなった道を神坂の後について歩く。
「…なあ。」
「ん?」
「……それ。食わねぇの?」
神坂が、突然顔を覗き込んできてあたしの手を指差した。
……すっかり忘れてた。
ずっと握り締めたままだった左手をそっと開くと、神坂がくれた星形のキャンディー。
キラキラしたそれは、何故だかあたしの胸をきゅんと熱くさせる。
「だって。勿体無くて、食べらんないよっ」
「……バーカ。」
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