島野豊吉

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「は~見事にはぐれた………」 頭は赤い鉢巻。胴丸鎧も赤、正に赤備え。 二十代の若者二人はとぼとぼと歩いていた 「俺達はまた幸村様に怒られるな…」此方も赤具足の若者は溜め息混じりに愚痴った。 「しかしこの戦で戦国最期だろう。」 「誠に我々も運がないな…」 「喜八郎!!!お主は豊臣に恩は無いのか!?」 冗談半分で言った喜八郎はもう一人の若者の勘に障った。 「落ち着け!!豊吉、冗談だよ!冗・談っ!!」喜八郎は焦りつつ豊吉をなだめた。 「そりゃあ俺だって小牧長久手から始まり、九州征伐、小田原合戦、、朝鮮出兵、関ヶ原の戦い………親父の代から亡き太閤殿下に従っていた。」 喜八郎は刀の横に差した短筒をさすりながら続けた… 「この短筒は親父が小田原の八王子城の一番槍の功で貰ったといつも自慢しとった。しかし俺は三男坊よ、家は兄者が継いだ関ヶ原の時は俺は石田様に付いた。兄者は福島様に付いた…今回も俺は幸村様、兄者は浅野様に付いた。これだったらどっちが負けても家は残る…関ヶ原の時に真田様がやったことと一緒よ。豊吉は?」 「俺は親父と兄者が関ヶ原で石田様の右腕島左近様の陣にいたで二人共戦死、儂は大坂城に留まって留守居。」 悔しさで歯を食いしばって震えていた。
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