<序>

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ある所に移動を繰り返しながら過ごしていた村がありました。 その村がある場所には、何故だかわからないけれども必ず雨が降っていました。 そして、その村が通り過ぎた後には必ず多くの作物や植物が育っていたのです。 人々はその村の事を「豊饒の村」と呼んでいました。 しかし、ある時を境にその「豊饒の村」は移動をしなくなり、小高い岡の上に定住するようになりました。 その場所には雨が降り続き、「豊饒の村」の人々はいくつもの大きな傘で村全体を覆ってしまいました。 それ以来…その村は「傘の街」として人々から知られるようになったのです。 「豊饒の村」が「傘の街」になって以来、多くの場所が水不足になってしまい、砂漠になっていきました。 逆に「傘の街」の周辺には水が貯まっていき湿地が増え、そしてその更に外側には豊かな自然が生まれていきました。 これは…その「傘の街」ができてから数十年後のお話し。
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