天才少年

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天才少年

大西寛一は、隅田川の川緑を歩くのが好きである。 特に気分が滅入ったときは無性に歩きたくなる。 亜城橋から木百橋にかけて、川面を見ながらぼんやり歩く。 そして、木百橋のたもとにある喫茶店でコーヒーを飲むことにしている。 この喫茶店は川にせり出していて、店内には人命救助の表彰状が何枚も飾ってある。 隅田川に落ちた人を助けたのか。 中には身投げの人もいるかもしれない。 ときには、ふっと川に身を投げて死んでしまいたいと思うこともあるが この額を見るとしらけてしまって死ぬ気がなくなる。
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