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珍しく井上さんと二人、何か話をしているようだ。この二人はあんまり仲が良くない。と言うか、涼介君が井上さんの事を好きではないらしい。
気に食わない、と何度も聞いた。でも、それが何故なのか良く分からない。井上さんに言わせれば“可愛い嫉妬”だそうだか、何が可愛いのかどこが嫉妬なのかさっぱり分からない。
「ゴメンネ、遅くなって。」
私に気が付いた井上さんが涼介君に声を掛けて、振り返った彼に軽く手を上げる。
「別に。」
ちらりと私に視線を向けた涼介君だったが、案の定愛想が悪い。
別に普段から愛想が良い訳ではないけれど、機嫌の良い時は甘い顔で意地悪い事を言ったりして私をからかって楽しそうにするから、私に対して反応が薄くて白けた態度を取ってくるのは完全に機嫌が悪い証拠だ。
「ね、何か食べた?」
「ああ食べた。」
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