物語のはじまり。

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二人ともソファーに座り直し、ともに紅茶をカップに継ぎ足して。ほどよく温かくて味わい深いそれを楽しみながら説明を聞いた。 まず、《異端》に属することになったノイ・アトラード王国。 驚くことに、ここは《アトラーディア》という独特な種族の国だ。アトラーディアはアールヴ(つまりはエルフ)とバードマン(鳥の特徴を有する亜人種。残念なことに もう滅んでしまっている)の混血という、かなりややこしい上に稀少な種族なんだとか。 そしてアトラーディア、この種族は良くも悪くも変態(誉め言葉)だ。何故かって? ざっくり言えば、彼らの産みの親からして「種族の伝統に反して故国から世界に飛び出したアールヴ達」と「既に滅んでしまった稀少種族のバードマン達」であり、 彼らはファルアークの“旧時代”──世界がかつて滅びを迎える前の、今よりも遥かに優れた技術や文明により繁栄していた時代──において、 最大でも1億人かそこらだったにも関わらず世界有数の強国を築き上げたこともある少数精鋭種族であり、 その上、旧時代においても実現困難だったはずの空中大陸なんてものを造り上げ、 以降は“大災厄”──旧時代を滅亡に追いやった、世界規模の詳細不明な大災害──に世界が覆われる時まで、ずっと空中大陸に引きこもって繁栄していたらしい。 ──ただ、そんな半端ない人達が わざわざ《異端》に仕えて助けを借りなくてはならないと判断するほど、今のノイ・アトラードおよびアトラーディアは追い詰められていた。
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