夜が

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夜は朝に駆逐されて 星と闇が、 シャッターの降りた商店街が、 酔っぱらいのサラリーマンが 派手な格好の女たちが 街灯に照らされたボロボロの猫が 激しい感情が 苦悩が 笑顔が いやらしい感情も 怒りも 愛も 今ある世界の全ては やがて朝に照らされて薄らいでく。 光は全てを眩しく照らして、世界はハリボテじゃないかと嗤う。 偽物なんだぜって照らしてしまう。 正しい光に照らされて、 僕の嘘は残骸を晒して、 明日の僕はきっとその残骸にすら気付かない。 忘れたくないって思った自分がいた事も やがて忘れてしまうんだ。 世界は今を過去に塗り潰して何処か未来へ進んでく そんな事もあったねなんて笑ってる自分がいる世界へ向かってく。 それが正しいから、時間は厳密に流れて止まらないんだろ だけど 悲しみも怒りも喜びも 今の僕の全てのことを 偽物の世界を 僕は何も笑いたくないんだ 夜があけないなら まだここにいられるかな? 夜が ただ、続く夜が。
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