13-(2).

6/8
3487人が本棚に入れています
本棚に追加
/782ページ
「もう一度問う。貴様はなぜ、この壬生浪士組に入隊した?」 「───……あんたらの、壬生浪士組の役に立つために」 「それは本心か?」 「はい。オレは、あんたらの役に立ちたい」 じっと見つめてくる芹沢の目から逃れることはできず、しかし、思考は働き始めた。 本心かと問われて、肯定したものの、私の場合少し違う気もした。 陽菜の願いを叶えたいのは本心で、その願いの中に壬生浪士組の役に立つというのが入っていただけ。 そんなことが一瞬頭を過ぎったが、なにかを見定めるように見てくる芹沢に悟られないためにも、そのことを頭から追い出した。 役に立つということには変わりないのだから。 しばらく、芹沢からの視線を浴び続けた。 それがどのくらいの時間だったのかはわからない。 数秒なのか、数分なのか……あるいは数時間か。 それほどまでに、彼からのプレッシャーは強かった。 「……まあよい。わしは貴様の入隊を心待ちにしていたからな。その過程がなんであれ、結果が伴えばそれで良い」 「なんで、オレの入隊を心待ちにしてたんだよ。あの時入らないって答えただろ」 「あの時の答えは感情任せだ。それをわしが信じるわけがない。それに、貴様のことが気に入ったと言っただろう。気に入ったモノは側に置く質なのだ」 そう得意気に言う芹沢だが、かなり自己中心的な発言だと思うのは私だけだろうか。 呆れたため息をつきたかったがなんとか堪え、数メートル先の彼を見た。 話は終わった、とでも言うように、芹沢は完全に一人酒を楽しんでいて、私の存在をまたしても忘れてくれているように見えた。 このまま部屋を出ていっても良かったのだが、どうしても訊きたいことがある。
/782ページ

最初のコメントを投稿しよう!