プロローグはいつだって突然に

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 バッと起き上がり、周りを見回す。 「ここは……俺の部屋か」  床に散乱したラノベ。パソコンの前には無数のフィギュア。 「にしても、なんというか……妙にリアルな夢だったな」  未だに全てを覚えている。  なぜなら、俺は、その世界では主人公のようだったから。 「……はあ、ないない。俺が主人公とか有り得ないわ。学校行こう」  ついさっきまで見ていた夢を全否定すると、制服に腕を通す。  そして、そのままリビングまで行き、朝ご飯を適当に食べてから家を出た。  俺は今、ひっじょーに一人の男を殺したい。 「助けてよ、霧斗(キリト)!」  俺を霧斗と呼んだ男の名前は鏡 恋夜(カガミ レンヤ)。こいつを一言で表すなら、『ラブコメの主人公』だ。  ほら、今も、幼なじみちゃんにクラスのツンデレちゃん、更には古風な許嫁ちゃんに迫られている。  そのせいで、クラスメイトの視線――いや、死線が色々とカオスになってるのだが、その根元たる恋夜たちは全く気付いていない。  はあ。まったく、鈍感にもほどがあるだろ……。 「――蓮城(レンジョウ)!」 「ぅえぃ!?」  いつの間にか居た先生にいきなり呼ばれて、変な声が出る。  クソッ、恥ずかしすぎる……!  ……まあとりあえず、今は恥ずかしさに耐えて、まずは俺(ワキヤク)と恋夜(シュジンコウ)がなぜ友達になったのか、そこから振り返ってみよう。
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