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私の目の前に居るのは緑色の毛並みで円らな瞳を向けている子犬、正確には子犬の大きさになっている賢狼エアリアルがいうには水熊と呼ばれる種族。
エアリアルに連れられてやってきたのは、どこだか分からない川辺。
そこには体長5mは越すだろう大きな水熊族の方が1人、大きな石の上で日光浴をしていました。
全身が青い色の鱗に覆われていて、亀のようなヒレの手足を持ち首が凄く長い。
その首の先端についている顔は間違いないく亀そのもの。
ぴったりだという表現は首の長い、甲羅ではなく全身鱗で覆われた亀というのが正しいと思います。
この方が本当に水熊族なのでしょうか? 私が名前からイメージしていた方と全然違うのですが……
そんな戸惑いを私は抱いていると私の足元に居たエアリアルがゆっくりと口を開きました。
「オンディーヌよ、久しぶりだな」
「久しぶりですね」
エアリアルの声に、その亀のような顔からは予想がつかないほどまるで鈴が鳴るような美しい声色が辺りに響く。
「昔話に花を咲かせるのも悪くありませんが、あなたの隣にいる彼女は?」
そう言って首をゆっくりと動かし、日光浴をしたまま私の方へと視線を向けた。
「私はアリス・ファルアード、人間です」
「こやつを弟子にとって貰えないかと思って連れてきた」
私の自己紹介に続けるようにエアリアルはそう言葉を繋げる。
私がここにやってきた理由、それはこの水熊族の弟子になるため。
エアリアルがいうには、奴以上に水の魔法を使える者はそうそう居ないとのこと。
つまり、この世界でもトップクラスの水の使い手に私は今弟子入りしようとしています。
「私に人間を弟子にしろということですか? あなたと同じように精霊から水の守り神と呼ばれる私が人間を?」
確認するように今度はエアリアルへと視線を向ける彼女。
すると私の隣に居るエアリアルは首を縦に振りました。
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