Case 14 ― トランス ―

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. 「やっぱり拓己君、どうやってここへ?」 「明日香さん!良かった……何でも無くて。でも、何があったんですか?この部屋――」  拓己の質問に、明日香は少し複雑な笑みを浮かべた。  拓己がこの理由を知ったら、どう思うのだろう?  やはり翔が言うように、恐れる気持ちが起こるのだろうか?  しかし、今はそれについて説明をしている暇は無い。 「理由は後で話すわ。早くここを出ましょう。葵は?」  明日香は、微笑んで話を変えた。 「姉貴はマリアさんの気を引き付けてる。その間に俺が来たってわけ」  その時、明日香の後ろから入って来た翔が「拓己」と声を掛けてきた。  拓己が翔に駆け寄って、嬉しそうに微笑む。 「翔さん?今、拓己って……記憶戻ったんだ。俺たちの事思い出したんだ!」  翔は僅かに間を置き、拓己に向かって口角を上げた。 「ああ……心配かけて悪かったな」 「良かった!これでここに居る理由は無くなったね」 「拓己君、急ぎましょう」  明日香に促され、三人はリビングに通じるドアを静かに開けた。  途端にピタリと動きを止める――  葵に銃を突き付けたマリアが、部屋の真ん中に立っていたからだ。 .
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