灰色の気持ち~信用と疑惑~

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悠璃が足を怪我してから早一週間。 移動の時に肩を貸すなど、ほとんど助けともいえないようなことしかできなかったけれど、そのおかげというか、悠璃の足はだいぶ完治に近づいた。 まだひきずるような歩き方をしているが、痛みはもうほとんどないという。 そのことを教えてくれた時の悠璃は本当に嬉しそうで、手伝いことになってからも多少負い目を感じていた俺もようやく一安心することができた。 そして、この一週間という期間で、梓崎悠璃という少女のことを色々と知ることができた。 例えばクラスでの立ち位置。 転校生、おまけに美少女ということで、彼女に対するクラスメイトたちの接し方はまるでアイドルに対するそれで、樹里も含めて三人でいるところを目撃されるたびに俺は非難の視線を浴びることとなった。主に男子から。 しかも悠璃と樹里はそれに気づいていないため相談することもできず、なんかもうグッタリだった。まあ、わからないわけではないんだけれど。 なんせ学校でも注目度がダントツの美女を二人も見ようによっては侍らせているのだからな。 俺がもし彼らの立場だったとしたら、間違いなく同じことをしただろう。だからそれは、まあいい。
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