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「でも、性別が分かってから、ね」
そこだけは譲る訳にはいかないから、と念を押す。
「明後日の定期検診で分かりますかね?」
「絶っ対、まだまだ、分からないです!」
分かったとしても、そう簡単には明かすまい。
心のなかで強くそう心に決めて、大きく首を横に振る。
「そうなんですか。待つことがこんなに苦痛に感じるのは生まれてはじめてです」
難しい顔をして唸りながら、染々と言う清吾さんに思わず笑ってしまう。
「せっかちなパパですねぇ」
まだ出てもいないお腹を撫でながら、そう話し掛ける。
すると、清吾さんは目を細めて、そんな私を優しく見つめる。
幸せだなぁ、なんて噛み締めながら、私も清吾さんに微笑み返した。
完
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