序幕 消された神話

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   [神]とは創造主であり絶対的存在であるが、神が宇宙を作った訳ではない。  奇跡のような誕生により森羅万象なる天地――宇宙が意思を持ち、力を持ち、知恵を持ち作り上げたのだ。  宇宙はただ孤独だった。生まれ落ちた瞬間からの孤独。だが、すべての知識を持っていた宇宙は、その力を使い[命]を生み落とした。  やがて自身と同等の存在、生命を生み出した宇宙は、知識を力を意思を受け継がせた。  1つの災いの予言と共に――。  生み出された神の名を[ユニヴェール]と言う。ユニヴェールは知識により星を生んだ。  やがて地球が出来た。  ユニヴェールの意思は心になり、孤独の寂しさに耐えられず、自身と同じ神となるモノを力により地球に生んだ。  それが宇宙の示した災いの予言という事を忘れて。  そして、ユニヴェールの力が拡散され、零れ落ちた力が宇宙の影に吸い込まれていった。  ユニヴェールに力の全てを託した宇宙に既に意思はなく、宇宙の影に吸い込まれていった力に何者も気付く事はなかった。  生には死。創造には破壊。  影は知らぬ内に強大になり神を生んだ。  宇宙の影から生まれた神は神々の戦争の引き金となり、支配を望み渇望した。  長き戦争は十一の神々、九の守護聖の力によって治まった。  だが、暗黒の時代の終焉には至らなかった。  時の予言があった。  暗黒の再来。  復活せし小さき希望。  十一の神々は九の守護聖を残し禁じられし生まれ変わりの儀を執り行った。  だが、その歴史は何処にもない。何故なら、抹消されたからだ。  よって、この神話を知る者は誰も居ない。  ――――[消された神話]  ◇ ◇ ◇ ◇  ――地球。  46億年前に誕生し、進化を遂げた生命が生存する第3惑星。様々な時代を経た現在、白亜紀時代の名残もなく、世界は進化を遂げた姿で変わらぬ日常を繰り返している。  だが、今地球に生きる者達の中で何人がこれから先の未来を想像できただろうか。  力を持たぬ者には想像すらつかない暗黒の時代が訪れるなど、想像できた者は誰も居なかった。
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