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~~~~~平丘有美~~~~~
「そうか、もう五年目か・・・」
オレは大きな部屋の、大きな机の前で、これまた大きなため息をついた。
アン・フランシスが死んで五年目。
オレがファインやモミ、そして大志とも会わなくなって五年目だ。
「失礼します。有美様に、先日の募金活動の報告を・・・」
若い男が、正面の扉を開けて入ってきた。
新入りか。
「初めて見る顔だな。」
「はい。私は、一週間前に、加盟いたしました。」
「句読点多いぜ。緊張しなくていい。オレは仲間とフレンドリーに接する主義なんだ。」
「はあ・・・」
男は面食らった様な表情になった。
「別に、オレは都市伝説になりはしてるけどよ、礼儀正しくないからといって、人を食い殺すような真似はしないぜ?」
「そうですか。しかし、私は敬語の方が慣れていますので、その点はどうしようも・・・」
「なんだい。真面目だな。レイみたいだ。」
「レイ様と同じなどとは、とても・・・」
遠慮深いなあ。
顔もなかなか整ってるし、年上からモテそうだ。
それはそうと、何の用だったっけ?
「ええと、募金の結果についてなのですが・・・」
そうそう、それそれ。
「三ヶ月で計五万円でした。」
「少ないな~。それじゃあ貧しい子供達が泣くぜ?」
まあ、数年前まで暴走状態だった、新興宗教だからな。
信頼度はまだまだ低い。
「五万円はちょっと少ないな。」
「すみません。」
「お前が謝ることじゃないぜ。」
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