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――キィンッ ガガッ
響く金属音。
手に伝わる独特の衝撃。
背中を預けた男の忍び笑いが耳を擽る。
「何故笑っている?沖田」
「だって愉しいんです。斎藤さんもそうでしょう?」
「………」
私とお前を一括りにするな、戦闘狂め。
大体お前が私を甘味処に引きずってきたから、こんな目に遭っているんだ。
行きたいなら一人で行けば良いものを。
強引に連れ出された挙げ句帰り道で絡まれるなど、ついてないにも程がある。
そんな事を思っている間にも、襲いかかる浪士達。
「幕府の狗が!覚悟ぉぉぉ!」
「………」
弱いイヌ程よく吠えるとは、よく言ったものだ。
「ぅぐっ……」
鳩尾に鞘で突きを入れれば、脆く崩れる浪士。
それはもう呆気なく。
最初は十数人いた浪士達は、一人残らず地に伏せていた。
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