第一章 出会い

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時は、弘治元年(1555年)6月5日。駿河湾からの潮風が領民の目にしみ入る、文月の季節の頃。 とある、武将とその小姓である、四人を引き連れて、駿河国、富士の善得寺に向かった。 何故ならば、今まで自分を支えて居てくれた者が、今年の5月に亡くなったため、あまりの衝撃で、自分が修業した。善得寺に行き、自分を見つめなおそうとしたためである。 とある武将一向は、富士川の橋を通過しようとした矢先、突如、四方八方を20人程の野武士に囲まれ、野武士全員が、一斉に攻め掛かって来た。 「狙いは、そこの名のありそうな首だ!」 「御首頂戴致す!かかれ~!」 「殿をお守り致せ!」 小姓の一人が叫ぶ。 その時、風の音と一緒に、一発の銃弾が野武士の大将らしき者の肩に命中し、落馬した。すぐに、謎の者は、弾を込め、次の標的を探す。その間に、15人程の武士達が野武士集団目掛けて、突撃して来たため、野武士集団は、いてもたっていれず敗走して行った。 「助太刀すまぬ。某は、今川義元じゃ、富士の善得寺に向かう途中に野武士に襲われた。まことに忝ない」 「国主様であったか。危うく、撃ち殺すところだったぜ」 少年が言う。 「国主様、弟の御無礼を平にお許し下さい。某は、兄の源三郎と申します。弟は、源次郎と申します」 源三郎が源次郎の頭を無理矢理、下げさせ、平伏をする。 「そちたちに何か褒美を取らす。儂の居城に参れ!よいな?」 「ははっ」 源次郎兄弟とその仲間の15人が頭を下げ、義元の居城、駿府城に向かった。 大広間に通され、上座に義元が座り、その後ろには、小姓が義元の刀〈三文字の太刀〉を持っている。右には、筆頭家老の朝比奈泰能が座る。下座に、源次郎兄弟とその後ろに15人の仲間が座る。 「この者どもが、大殿を助けた、者で御座りますか?」 泰能が義元に聞く。 「そうじゃ」 義元が答える。 「頭に30石。他の者に各10石を与えるというのは、如何ですか大殿?」 「儂の首が、それだけ、安いと言う事か泰能?」 「滅相もございませぬ。御無礼のだんお許し下され」 「泰能よい。ところでそち達、儂に仕える気はないか?」 「国主になんか仕える気なんか全然ねぇよ」 弟の源次郎が、返答する。 続いて、兄の源三郎が、返答する。
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