朔月

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「あそこに白銀がいるのね?」 「ああ、一瞬だが、力の漏れを感じた」 「やっと、会える!やっと見つけた!」 「わずかしか捉えられなかったが、おそらく深紅(しんく)と同等の力だろうな。凄まじい気配を感じた。身震いしたぞ」 「白銀がいなくなって、数百年。会うのは久しぶりだな」 「大鬼様、私が白銀を連れてきます。深紅も行くわよね?」 「…なぜ俺が?」 「お前の片割れじゃないか」 「それは、過去の深紅と白銀の話だろう。今の俺には全く関係ない」 「行かないの?深紅」 「行かない。俺は白銀を連れてくることには反対だって言ってるだろ」 「お前だけじゃ無理だ、小僧。お前には白銀が」 「必要ないと言っている」 「深紅!」 「連れてくるなら勝手にしろ。俺は一切関わらない」 「頑(カタク)なだの」 「大鬼様、私行ってきます!」 「おお、頼んだぞ、アヤメ」 「はい!」
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