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「あれでもうちょっと可愛げがあれば、どんな女だって落とせる顔してんだがなぁ。な、テレーもそう思うだろ?」
ワルトの呼びかけにテレーは答えない。
さっきからずっと、眉間に深いシワを寄せたままだ。
やれやれ、とワルトはため息をつく。
「さて、俺たちも戻るとするかね」
ワルトは軽く伸びをすると、竜の手綱をとった。
沼地の上を低空飛行していた二頭の竜はゆっくりと上昇し、東へ向けて飛び立つ。
沼地ではおびただしい数の野生竜の鱗が、夕日を反射して赤く輝いていた。
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