第0話・夢の中で

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高校1年の5月 朝、僕はいつものように 7:30に部屋を出た。 朝食もとらずに 学校に向かう。 姉と父親はすでに仕事に 行っている。 母親は離婚して居ない。 そのため、 家族と話す事も無い。 学校についても 誰とも話さずに 黙々と机で勉強をする。 周りからは変な目で 見てくる奴も居るし、 感心した目で 見てくる奴も居る。 僕にとっては どっちも同じだ。 そして、 昼休みになったら 多目的室に引きこもって 1人で勉強をする。 学校から帰っても すぐに部屋に 引きこもって 勉強をする。 午後11時に寝て 午前2時に起きて勉強。 中学時代から そうしている。 本当はみんなと 話したいし、 ゲームもしたい。 でも、僕には それが許されない。 僕は勉強しないと 生きられないのだ。 なぜなら家が貧しくて、 学校の費用が用意 出来ないのだ。 姉は大学を諦めて就職した。 でも僕は貧しいせいで 自分の夢を諦めたく無い だから勉強している。 全教科100点満点で 先生からは 期待されている。 これが僕の生き方だ。 このまま孤独に生きて 孤独に死ぬ。 それでいいんだ。 人と関わると 面倒な事になる。 孤独が幸せだ。 勉強が幸せにつながる。 同年代の奴らは 無駄な時間を過ごし、 大人になってから 後悔する。 僕は絶対に後悔しない。 高校の費用を免除して 貰える成績をキープして 大学の費用も免除して貰う。 貧しい僕には この生き方しか無い。 そうして生きてきた。 今までも……… そして、 これからも。 今日も1人で 過ごしていた。
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