非日常の扉

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学校。それは、ただうるさいだけの大きな箱。 特に昼休みなんてもう…冗談じゃない。 「知ってる?最近この街にいる不良の事」 「すっげぇ噂になってるよな、『猫』。」 もう少し静かにできないもんかと眉間にしわを寄せる。 これなら授業中の方がまだ気が楽… 「変な顔してんじゃねぇよ」 頭をぐしゃぐしゃと掻き回すのは、このクラスで最も恐れられる不良、草薙龍。私、百合野夕季の後ろの席である。 龍が昼休み登校してきたことで、クラスは若干静かになるが、相変わらず皆の視線はちらちらと龍へ向けられる。 「誰が、変な顔だって?」 「だからお前。」 まだ言うかこのスポーツ刈りは。 大体、不良と言われるにしては見た目が合ってない。短めの黒い髪、くずしてはあるが、ちゃんとネクタイも締めているし、自分から喧嘩をしたりしない。 「お前、猫って知ってるか?」 またこの話題か。 「知ってるよ、尻尾があってにゃーって鳴くもふもふ族でしょ?」 「それは俺も大分前から知ってた」 さすが、幼なじみなだけあっていいつっこみしている。 「不良の猫のこと。元々街にいたチンピラがそいつに喧嘩売ったら、速攻で戦闘不能にされるらしい。」 「なんで猫なの?」 「そいつの動きとかが猫っぽいんだと」 猫っぽいって… というか、 「なんでそんな話するの」 普段は人の噂とか全く気にしない奴が珍しく誰かの話をする。何かあるに違いない。 「別に。ただ、お前は昔から動物に好かれるからな」 「……?」 龍の言葉に冗談が半分、そして本気も少し入ってることに、私はまだ気づかない。
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