プロローグ

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風が吹いた。 私の頬に吹き付ける、 彼の頬を掠める、 あの人の頬を撫でる。 そんな生暖かい、風が吹いた。 花は揺れる。 彼の一粒の涙を吸って、 あの人の声を聞いて、 私の想いを受け止めきれずに。 そうやって、花は揺れる。 君を手放せなくて。 あの人が私に笑いかけるから、 私が迷子になりやすいから、 彼が消えそうな表情だから、 だから困るんだよ、 君を手放せなくて。 -薄弱と蕩ける- 。
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