静かな怒り

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「帝国軍、後退します」 「うむ。深追いは不要だ。損傷艦の応急修理と補給を急げ」 オペレータの報告に連邦軍マイセン大将は静かに命令する。タリア星系に押し込まれた連邦軍であったが、エドワードの勇猛果敢な攻勢防御のおかげで士気は比較的高かった。 「マイセン閣下、閣下から要請していただいた星系防御力強化の件ですが、旧式艦砲を200基手配し、こちらへ送ると本国より連絡が入っております」 「了解した。アキレス、現有戦力では帝国軍を辺境宙域から駆逐するのは難しい。だが、タリア星系さえ確保しておけば我々は辺境宙域へ自由に出入りが可能だ」 「はい。小官が閣下にタリア星系の防御力強化を申し出たのも、ここさえ押さえておけば帝国軍の勝利は永久に来ないからです」 アキレスが力説する。帝国がタリア星系以外を勢力圏に治め、辺境宙域の開発に乗り出したとしても、連邦軍がタリア星系を押さえていればそこを経由して妨害活動に軍を派遣するのは容易な事だ。逆に言えば、タリア星系まで帝国軍に奪われてしまっては、連邦軍は辺境宙域に全く手を出せなくなってしまう。
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