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程無く、ラインツの視線の先――タリア星系から無数の火線と幾つもの閃光が発せられた。帝国軍主力部隊が遂に進攻を開始したのだ。
「ラインツ閣下、ジェライド閣下より入電!『我、敵艦隊ならびに砲台群に対し突入を敢行せり』!!」
「うむ」
ラインツは短く応えると無表情で腕を組む。
「閣下、主力部隊に激励文を送りましょうか?」
「・・・不要じゃ」
副官の提案をにべも無く却下するラインツ。緒戦より優勢に戦いを進めている帝国軍であったが、損害は決して小さくはなかった。
『・・・力攻めで更に犠牲は大きくなるのう。やれやれ、ウィルを使って上手く戦局をコントロールしたと言うのに、これでは台無しじゃで』
表情にこそ出さないものの、彼の心中は穏やかでは無かった。連邦軍の輸送部隊を壊滅させて浮き足立った時は絶好の好機であった。
にも関わらず、ジェライドの優柔不断な態度のおかげで連邦軍を攻め切る前にマイセンの来援があり後退し、マンダリン星系では連邦軍を包囲網に落とし込んだがエドワードの果敢な攻勢防御によって殲滅出来なかったのだ。
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