静かな怒り

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「輸送艦、接舷しました」 「よし、ただちに作業を開始せよ」 帝国軍が最終局面とばかりにタリア星系へと殺到していく中、全く別の動きをしている艦隊がいた。 「ドンナー機関長、今回はとにかく量を積み込まなければならんからな」 「お任せ下さいウィル大佐。既に手は打っております」 そう、それは帝国軍第38宇宙艦隊。指揮官であるウィルの念押しに物資の管理責任者を勤める機関長、ドンナー中佐は笑顔で親指を立てる。 「ハッチオープン!まずはミサイルからだ。空コンテナを放出しつつ、実装コンテナを引き込むぞ」 彼らが乗る戦艦ガルディアスの舷側装甲の一部が開かれ、中からコンテナが静かに放出された。輸送艦から伸び出したロボットアームが器用にそれを受け取る。 『機関長!対艦ミサイルの実装コンテナだが、ユニットに入っているのは3基分だけで、後はコンテナの中で全部山積みだ。いったいどういう事だ!?』 程無く、通信モニターに砲術長オイゲン中佐が弾薬庫から慌てた顔で叫ぶ姿が映し出された。 「・・・予定通りだが?」 『何いっ!?』 涼しい顔で答えるドンナーにオイゲンは更に声を張り上げる。
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