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少女は眩い銀色の光に包まれていた。
胸元から銀色の柄が伸びてくる。
少女が細い腕で柄を力一杯引き抜いた。
細身の霊刀が体内から召喚される。
キーーーーーーン。
濁った大地に、澄んだ甲高い鉄を打ち鳴らしているような音が響き渡った。
切れ長の黒い瞳が少女を見下ろす。
無表情に冷徹に無慈悲に、青年は黒髪の少女をあざ笑う。
私は、世の理へあなたを還す。
少女の細身の剣が、高く振り上げられた。
一人にはしない。
私もいく。
二人で一緒に、この世の顛末を見届けよう。
例え結末が地獄になろうとも、人がその中に楽園を見出せるまで――――。
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