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Tululululu …Tululululu …Tululululu ………
ケータイが着信を知らせている。
ディスプレイを確認すると『ハル』の2文字。
ハルからの電話と知ると途端に胸が高揚する。
不思議なくらいハルだけに異常反応する、オレ。
「……もしもし、ハル?」
『あ、もしもし?先輩ですか?』
「うん。何かあった?」
ハルの声を聞くだけで空気が弛む。
『お兄ちゃんから制服受け取りました。わざわざスミマセンでした……』
「あぁ……本当は届けに行こうと思ってたんだけど。たまたまシュウと会ったから頼んだんだ」
『私ってば……全く気が付かないで……』
電話ながらも、ハルの生真面目さが伝わって来る。
生真面目っていうか、誠実っていうか……。
そう、純粋……、
これが1番しっくりくる。
「いいよ?そんな事。
けどさ、ハル。そんな話し方じゃ、ハルへのお仕置きは増える一方だけど……大丈夫?」
ハルらしいって言ったらそのまんまだけど、もっとオレに慣れて打ち解けて欲しい。
オレって自分で思ってた以上に欲張りだな。
『あー!そうだった!
っ先輩、見逃してくれたり……しません…よね?』
慌てながらも、オレを窺うようなハルの話し方。
オレはホントに、ハルの前ではポーカーフェイスでいられない。目の前にはいないけど、ハルの慌てた姿が目に浮かぶ。
カワイくて仕方がない……。
「……しょうがないなぁ。
今日は初めての電話だし、電話の分はカウントしないでおこうか」
『先輩、ありがとう……っていうか。
今から部活ですよね?ごめんなさい、長電話……』
「あ?あぁ、気にするな。
じゃ、月曜に学校で会おうな」
『ハイ。先輩も部活頑張って下さいね。
あ…っと。またメールしてもいいですか?』
どこまでも謙虚なハル。
それは彼女の美徳だと思う。
「もちろん。いつでもメールして?」
『あ、あのぅ……もし良ければ……。
先輩からも……メール欲しい…です』
少し言いにくそうにしてたから、何を言い出すのかと思えばカワイイおねだり。
「いいよ。オレもメールするから、いい子でな?
それじゃぁ…な」
それくらい、
容易いご用さ。
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