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響†Side
I love you darling~♪
夜更けに自室に鳴り響く、流行りの洋楽ラブソング──……。
最近付き合い始めた彼女からの着信音に設定してある曲で、これが鳴るたび幸せを感じずにはいられない。
ベッドでウトウトと惰眠を貪っていた俺の脳ミソは一瞬で覚醒した。
田井中響(タイナカヒビキ)、
二十歳。
彼女一筋浮気経験なし!
見た目はチャラいけど意外にピュアでマメなんだねってよく言われちゃう俺。
そんな俺とは真逆の、いつも忙しいが口癖の淡白な彼女と現在交際中。
メールすらマトモに返さない冷たい彼女が自ら電話してくるなんて珍しい。
もしかして、会えない日々が続いてさすがに俺が恋しくなったのかもしれない。
可愛いヤツめ!な~んて思いつつ、にんまりしながら携帯を手に取った。
「もしもしハニ~♪」
「ごめん響。私と別れてほしいの」
「…………へ?」
開口一番、電話ごしに聞こえてきたのは予想だにしない言葉。
頭がついていかず間抜けな声が漏れる。
「私と、別れてほしいの」
ウキウキしながら電話に出てみれば、いきなり別れ話かよ……。
しかも、条件反射で聞き返したらだめ押しで二回目いただいちゃった。
……最悪。
笑えねぇー……。
──彼女と付き合い始めたのはたったの一ヶ月前のこと。
心変わり早すぎでしょ。
いい加減、女って生き物を信用できなくなりそう。
何しろ、ものの数週間でフラれるのは、これが初めてじゃない。
「一応聞くけど、なんで?」
「……」
気まずそうに黙りこむ彼女。
実は、聞かずとも理由は何となく気付いていたりする。
彼女とは大学が一緒だ。
きっとまた“あいつ”のせいに違いない──。
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